COLUMN

経営・管理ビザの更新で見られる「決算と税金」

結論

在留資格「経営・管理」の在留期間更新では、会社の直近の決算書と、税金・社会保険を納めているかが確認されます。
決算を整え、期限どおりに納めておけば、この点の心配は少なくなります。

見られる決算直近2期
3,000万円の新基準の経過措置令和10年10月16日まで

更新の申請は行政書士へ、決算と税金の面は税理士へ、と分けてご相談いただくのが確実です。

1. 更新で出す、税金に関する書類

小規模の会社の多くは、入管庁の区分でカテゴリー3または4に当たります。カテゴリー3・4の会社の在留期間更新許可申請では、次のような書類を出します。

  • 直近の年度の決算文書の写し
  • 申請人ご本人の住民税の課税(又は非課税)証明書と納税証明書(1月1日に住んでいた市区町村が発行)
  • 所属機関(会社)の公租公課の履行状況を明らかにする資料:労働保険・社会保険の納付状況と、納税証明書

会社の場合、納付状況を確認される税目は次のとおりです。

国税源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税
地方税法人住民税(都道府県民税・市区町村民税)、法人事業税

入管庁のQ&Aでは、公租公課の資料は「いずれか一つ」ではなく、納付が義務づけられているものは全て提出が必要とされています。国税の納税証明書は税務署、地方税は県税事務所と市区町村で取ります。

出典:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」」(在留期間更新許可申請・カテゴリー3・4)、同「上陸基準省令等の改正について」問24・問26・問27

2. 決算書は、直近2期の「貸借対照表」まで見られます

1年赤字だっただけで決まるわけではありません。入管庁は、単年度の決算ではなく、貸借状況も含めて直近二期の決算状況で総合的に判断するとしています。要点は次のとおりです。

直近期末に欠損金がない直近期が当期純損失でも、売上総利益があれば、事業の継続性は認められます。
直近期末に欠損金があるが、債務超過ではない今後1年間の事業計画書と予想収益の資料を出し、原則として継続性ありとされます。内容によっては、第三者の評価書を求められることもあります。
直近期末だけ債務超過1年以内に債務超過でなくなる見通しについて、第三者の評価書が求められます。
直近期末・前期末ともに債務超過原則として継続性なしとされます。設立5年以内の新興企業は、資料をもとに柔軟に判断されます。
直近2期とも売上総利益がない原則として継続性なしとされます(新興企業は柔軟に判断)。

評価書を書く第三者は、「中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者」とされています。

出典:出入国在留管理庁「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」3 事業の継続性について

3. 未納と重加算税は、不利に評価されます

高額の未納や長期間の未納は、消極的な要素として評価されます。
さらに、消費税の不正受還付や、所得税・法人税等で重加算税の賦課決定があった会社を運営する人は、事業の運営を適正に行うとは認められないものとして、特に消極的な要素とされています。

労働関係法令・社会保険の加入や納付の問題も消極的な要素とされ、更新が認められなかった事例もあると、入管庁は注意を促しています。
重加算税は、税務調査で仮装・隠ぺいがあったとされた場合にかかるものです。日頃から、説明のつく帳簿をつけておくことがいちばんの備えです。

出典:出入国在留管理庁「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」4(1)(令和8年6月改訂)、同「上陸基準省令等の改正について」問2

4. 3,000万円の新基準と経過措置

令和7年10月16日から、「経営・管理」の基準に、事業の用に供される財産の総額(法人は資本金の額)3,000万円以上が加わりました。すでに「経営・管理」で在留している方は、次のとおりです。

  • 令和10年10月16日までは、新しい基準を満たさないことのみをもって、更新が不許可になることはありません。
  • その後も、経営状況が良好で、法人税等の納付義務を適切に履行しており、次回の更新までに新基準を満たす見込みがあるときは、その他の在留状況も含めて総合的に判断されます。3,000万円に満たないことのみで一律に不許可になるものではない、とされています。

経過措置の間もその後も、納税の状況はますます大事になります。

出典:出入国在留管理庁「上陸基準省令等の改正について」問1・問3

5. 決算の前に、今できること

  • 決算の2〜3か月前に貸借対照表を確かめる:欠損金はないか、債務超過になっていないか。決算を締める前なら、打てる手が残っています。
  • 税金は期限どおりに納める:源泉所得税は毎月(納期の特例なら年2回)、法人税・消費税の申告と納付は原則として決算から2か月以内です。当事務所では、外国人の社長の顧問先に、会社ごとの税金カレンダーを1枚にまとめてお渡ししています。
  • 納税証明書は早めに取る:税務署・県税事務所・市区町村と取る場所が分かれるので、更新の日程に組み込んでおきます。
  • 評価書が要りそうなら、早めに準備する:事業計画書と予想収益の資料を、評価をお願いする方と一緒に、時間をかけて作ります。

更新の申請そのものは、行政書士にお任せください。入管庁は、弁護士・行政書士以外の人が報酬を得て申請書類を作ることは行政書士法違反のおそれがある、と注意しています。当事務所は、連携している行政書士の先生に、更新に必要な決算書・納税証明書などをお渡しする形でお手伝いします。

出典:出入国在留管理庁「上陸基準省令等の改正について」(事業計画書の取扱いの注記)

この記事は、2026年11月7日に確認した出入国在留管理庁の公表資料にもとづく一般的な説明です。更新の許否は入管庁が個別に判断するもので、結果をお約束するものではありません。

次の更新の前に会社の決算書を見てほしい方は、お気軽にご相談ください。行政書士の先生からのご紹介も承っています。

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